昨今の過度な贅沢三昧オンパレードの飽食に対して強烈な違和感と嫌悪感を感じずにはいられません。
お店から遠く離れた全国各地・世界中から良質な食材を巨大資本で買い漁る行為も同様です。
その土地で生まれ育った料理人がその土地の鮮度抜群の生命力漲る食材を使って作る料理こそが本当の意味での料理と言えるのでは無いでしょうか。
料理においても科学発展著しい昨今ですが、備後茶量の料理は正に間逆を目指し、歩んでおります。 木や竹、土鍋といった自然素材の調理器具や、薪や炭の火力を使い、なるべく昔の調理場の施設化を進めています。
料理や器、日本という国を突き詰めていくとそこは『自然そのもの』です。 自然に如何に近づけるか。 そう考え、調理場施設はもとより、 料理人である私自身が自然により近づけるようにと努めて参ります。
どの業界にも言える事ですが、情報共有が容易な現代において飲食業界は金太郎飴とも言える状態です。
目先の繁盛や名声に欲を出し、真に思想や哲学を抱いた料理を味わう事が困難になっています。
その点からも私は食べ歩きや視察といった他店を勉強に行く事は滅多にありません。それは上記に述べたように良いと感じた事を真似したりする事で長期的に観ると『個性』が育まれないからです。
ひたすら目の前の食材、地元の食文化、自身に沈潜する事で初めて今まで世の中に無い価値を見出す料理が産まれると思うからです。
それとは正反対に、書籍では文学や思想、哲学書。エンターテイメントでは美術館や映画、ライブ、舞台など他分野を沢山見聞するようにしています。
あくまでレストランはお客様に『 楽しい空間 』を愉しんで頂く事ですのでレストランでは今まで考えられなかった演出含めて様々な取り組みを自店にならではの捻りを入れて落とし込むように努めております。
『日本料理』といっても人類史から観ると僅か数百年ほどの歴史です。
私は料理を通し、心根に流れる太古の血を呼び覚ますような人間本来の喜びの形を探求していきたいと思います。