私が最も尊敬している人物であり、陶芸家の金重陶陽さん。
同年の唐津の中里無庵さんや、一回り年上の大藝術家 北大路魯山人氏。
その他、錚々たる陶芸家が本流の桃山陶を超えようと、切磋琢磨して日本の芸術を盛り上げた昭和の時代。
その中でも陶陽さんの作品には品格、土味、凄味、美しさ。
そのどれを取っても、日本の陶芸史上最高峰であると私は感じています。
五十代中頃から晩年までの陶印を『ト』とし、
田井山の田圃の下にある観音土と呼ばれるねっとりとした土味豊かな土を用いた作品の評価が高いですが、個人的には陶印『土’』とした三十代中頃から五十代中頃までの室町期に迫る山土を多用した野趣溢れる作品が好きです。
当時は極貧かつ内向に沈潜しながら生み出された作品ばかりですから、自ずと備前焼のアイデンティティーがこの時代の作品にはあるように感じます。
今の自分と世代も重なりますから余計にこの時代の作品から沢山の力を貰っています。
そんな陶陽さんの作品に実際に手で触れて頂いて
その素晴らしさを知って頂きたいので、これからも
手に届く範囲の作品収集は続けていきたいと思います。
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備前 緋襷 酒壷 土’印
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備前長皿 六客揃 長ト印
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窯変徳利 土´印
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緋襷向付 ト印 晩年作品
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窯変深向付 短ト印 最晩年作品
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毎晩、陶陽さんとの会話が何よりの愉しみ。
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