四十にして惑わず


今年は開店10年、創業15年、自身も40歳にあたります。


まだ終わりの見えないコロナ禍の三年間。人の心理や感情が様々に揺れ動く中、今まで以上にあらゆる問いを自らが投げかけられた日々でした。


『外食産業が示す未来はどういった姿か?』


『長期的・真の意味で、人の役に立つ・世の中を良くするレストランや食とはどういった姿か?』


『あなたの仕事は社会にとって必要か?』 


『あなたは仕事を通して何をしたいのか?』


『あなたにとって仕事とは何か?』


フワフワした漠然とした問いでなく、このような本質的な問いの答えや自己を持っていないとコロナのようなことが起きるたびに売上も心身も右往左往する羽目になってしまうと痛感しました。


この問いに自分なりの考えを絞り出した『答え=仕事』を通して社会に貢献できるよう、これからも実直に取り組んで参ります。


2013年の開店当初、10年間は土の中に潜って自力を蓄え根を張る時間にし、40代から全国区でも勝負出来るようになろうと決め早10年。もはや10年では全く足りません(涙)


そして今年から中学生になる二代目(倅)も物心ついた頃から現在まで店を継ぐと言っていますので、このままいくと十数年でバトンを渡す事になります。


お店が二代、三代と続いていくようならその素地となる根を張る時間こそが私の代の役割なのだと最近では強く感じ、50年・100年風雪に耐えるべく家業の下支えとなる活動を今では行っています。


コロナ禍で様々な時代の賢者の書物を読み、書物を通じて彼らと友人となりました。そんな中でも私が最も励まされたのはやはり原点である仏教でした。


尾道は仏教の町でもあり、二代目の名前もブッダのスッタニパータの中の一節『犀(サイ)の角のようにただ独り歩め。』から名付けたこともあり、何か深い意味を感じています。


『心通わせ祈りを結ぶ食』


これが私たちの描く食の姿であり、その核となる料理 鯛の浜焼きを尾道で焼かれ始めて五百年にあたる二百年先までバトンを繋ぐ事


『 HAMAYAKI 2222 』


を目標に掲げ活動していきます。



今だけ金だけ自分だけ。


現代の価値基準では理解されるかわかりませんが

自分だけの命では到底成し得ない世界を目指せば現世で起こる様々な災いすらとても小さく感じてしまいます。