弁当作りと精進料理


二代目も今年の4月から中学生となり、お弁当生活が始まった事で私も毎朝5時起きの弁当&朝食作り生活が始まり三か月が経ちました。


容量や制限時間が決められ、旬の地小魚・地野菜を主とした飽きのこない健康的な献立が求められる毎朝の時間の中、非言語である料理に愛情や祈り、様々な想いを込めて作ります。


弁当=苦痛、面倒くさい、時短、早期給食化などネガティブなイメージが多いですが中高生の多感な時期には周囲環境からの非言語的な愛情と健康的な食生活から育まれる康らかな心根が情緒的な人間形成に非常に大切であるからこそ、この二度と戻って来ない貴重な時間を噛み締めながら一日一日を過ごしています。


話は変わって、近日中にインバウンドに向けたハラールコースやプラントベースのヴィーガンコースをローンチする予定ですが、ただ単に野菜だけのコースでは無く、その中に込めるものは日本仏教の中で受け継がれてきた哲学と精神性を纏った精進料理です。


そこでは、料理を始めて今日まで強みとして絶対的な存在であった鯛の浜焼きや尾道の魚料理は全く使うことは出来ませんので一旦これまで背負ってきた経験を降ろし一から学ぶ中で先に述べた弁当作りが大変な学びや修行となっています。


根菜の葉や野菜の皮だからといって安易に捨てたり蔑むのでは無く、どんな素材にも同じく感謝の意を込めて全て使い切る。この精神性は現在まで私が大切にしている心構えでもありますので、今一度備後地域の海藻や野菜類、郷土料理を学んだ上で瀬戸内ならではの精進料理を通常のコースと比較しても遜色無いクオリティとして愉しんで頂けるよう毎朝の弁当作りの中で学ばせて戴いておりますが、今までの経験の中で最も難易度の高い作品である事は間違いありませんが、同時に自身の皮がふた皮くらいビリビリと剥けていくのも体感しています。